第58回日米学生会議分科会紹介
第58回日米学生会議では、あらゆる分野で複雑化・多様化していく現代社会を考える単位として分科会(Roundtables,
RT)を設置している。各分科会ではそれぞれのテーマに応じて、会議参加者による会議期間全体を通じた議論を行う。分科会における議論の成果は本会議の最後に過去の日米学生会議の参加者を含む一般の方々の前でプレゼンテーションされる。
第58回日米学生会議では、下の七つの分科会を設置している。会議参加者は原則として、いずれかの分科会に所属し、議論を行う。
開発:貧困と発展
外交政策と国家ブランディング
科学技術と社会
市民参加の発展と非国家主体
多国籍企業とビジネスモデル
多文化主義とマイノリティ
文化とアイデンティティ
【開発:貧困と発展】
International Development: Poverty and Progress
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| 貧困は飢餓と密接に関連し、世界では3秒に1人の割合で子供たちがその幼い命を失っている。成す術もない貧困状態は人の心を蝕み、時にテロリズムを誘発する。昨今、国際会議では貧困問題の解決が急がれているが、今なお多くの人々はその問題から目をそらし続けている。日米二大経済大国の中にさえも貧困は存在する。しかし、途上国における貧困はより深刻で広範囲に及び、発展の大きな障害となっている。このような貧困問題に対して、途上国はどのように対処していけばいいのだろうか?
当分科会では、貧困の原因やそれがもたらす影響について議論し、その根絶と環境に配慮した持続可能な開発を達成するためには、どのような国際的枠組みが構築されうるかについて検証する。 |
コーディネーター
国松永喜
Ken-Cheng Hsiang |
【外交政策と国家ブランディング】
National Identity and International Perceptions |
| 市場や文化が交錯するグローバル化した世界では、「国家のブランド」づくりが国家の「アイデンティティー」を保持ないし主張するための必要不可欠な手段となっている。政府、多国籍企業、草の根団体、そして個人がこの注目深い領域にますます関与してきている。本分科会では、国家のアイデンティティーはどのように形成されたのか、その歴史を分析し、国家が対外認知度を改善する方法について考察する。現在の日米両国または日米関係のイメージが与える影響を中心に、クール・ジャパン現象や日本文化のマーケティングが国家のイメージ戦略にどのような役割を果たしているのか、または開発途上国における米国産ラベルの普及にはどのような意味があるのか、などについて議論する。 |
コーディネーター
生板沙織
Loc Van |
【科学技術と社会】
Science and Society:
The Implication of Innovation |
| 人間の生活水準の向上と科学技術の発展は切り離せない関係にある。先端技術を扱いうる者は歴史上その時代の成功者であり続けたし、今後もあり続けるだろう。しかしながら、生産技術の発展が植民地制度の後押しをし、熱機関の発達が資源獲得戦争の原因となり、生命工学が人間のパラダイムを変えつつあるように、技術の発展が時に社会に不測の影響を及ぼすことも事実である。科学技術の発展が加速度的に社会的な影響力を増しつつある現代を鑑み、本分科会では、科学技術の影響を正負両面から考察することで、現代と将来における科学技術の発展と普及について人類共通の利益を最大化し、不利益を最小化するためのフレームワークを構築することを目的とする。 |
コーディネーター
井上雅章
Stanton Lawyer |
【市民参加の発展と非国家主体】
The Evolution of Civic Participation:
Non-state Actors and Transnational Politics |
| 国際政治システムは新たな段階を迎え、従来のアクターだけではなく、NGO、NPOや多国籍企業、テロ組織などの非国家主体の重要性が上昇している。市民が多国籍企業やNGO、NPOの活動に間接的、直接的に関わるようになり、その活動は国家や国境を越えて影響力をもつ。一方、政府と非国家主体の間に軋轢が生じたり、協調関係が潤滑にいかなかったりする事例も見られる。このような問題意識のもと、本分科会では主に冷戦期から現在までの非国家主体の発展を検証し、今後非国家主体が人権問題や環境問題、宗教やイデオロギーなど、ボーダレスな諸問題に果たす役割を検討する。NGO訪問などを通して、具体的な事例の中から政府と非国家主体の関係を抽出、実証したい。 |
コーディネーター
唐澤由佳
Geoffrey Laurenz |
【多国籍企業とビジネスモデル】
Designing a Global Company:
Responsibilities and Strategies |
社会が企業に求めるものは時代とともに変わりつつある。利潤最大化、マーケットシェアの拡大、事業継続は企業にとっての至上命題であり、今後もそうあり続けるだろう。しかしながら、売上高が一国のGDPを超えるような企業が存在し、その影響力が深刻な環境破壊や南北格差の拡大に寄与しかねない現代において、企業は経済性だけでなく、社会性や人間性も考慮すべきではないだろうか。
当分科会では、米国企業訪問を通して、多国籍企業の戦略や役割について学ぶ。また、近年注目される企業の社会的責任(CSR)という理念を念頭に置きつつ、企業が求められる社会貢献と利潤追求を融合したビジネスのあり方を考え、提案していくことを目指す。 |
コーディネーター
山田裕一朗
Sydnie Reed |
【多文化主義とマイノリティ】
Global Mobility:
Multicultural Issues and Community Building |
| 日本では少子高齢化や外国人犯罪が問題とされる中、外国人を労働者として受け入れるべきか否か議論されている。米国では、労働賃金が下がる懸念、社会福祉における財政負担の増加、教育や言語の問題から移民を増やすことに反対する人も多く、安全保障の観点からもテロ以降規制が厳しくなった。アメリカにおける原住民とヒスパニックや、日本における諸外国からの移民や在日朝鮮人などのイメージがいかにしてメディアや政策などで作られるのかも興味深い。移住労働者は低賃金の仕事につき、搾取や差別に直面して民族ごとにグループ形成をする場合が多い。多文化主義社会においてマイノリティを強制同化させずに、異なるグループが融合できるようするには何をすればいいのか、教育や政策のあり方を検討していきたい。 |
コーディネーター
島村明子
Rachel Olanoff |
【文化とアイデンティティ】
Global Subculture: Creation of "Reality"
in Imagined Communities |
| かつて、「日本文化」や「アメリカ文化」など、国家の枠組みで捉えられてきた「文化」。しかし今、日本の若者はヒップホップに酔い、アメリカ人もmangaに夢中になる。国境を越えて広がる「サブカルチャー」は伝統文化を破壊すると同時に、過激な表現により時に偏見を生み出す害悪なのか。それとも、日本やアメリカといった国民文化を超えた、新たなアイデンティティーを生み出す鍵なのだろうか。本分科会では、日米間そして世界の異文化コミュニケーションの主要なファクターとなった「サブカルチャー」に着目し、グローバリゼーションの渦中における文化の伝統と近代化、メディアとリテラシー、ナショナリズムやソフト・パワー論の理解に新たな光を当てる。 |
コーディネーター
波多野綾子
Yoko Kamitani |
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