各開催地での滞在期間は約1週間となり、それぞれがサイトテーマの下で運営される。サイトテーマとは、開催地ごとに実行委員の準備するプログラムに共通する「問題意識」を明文化したものである。これにより、初めてとなる多くの体験の中で混乱しがちな参加者達に、持つべき問題意識の指針を示すと共に、より「学び」の姿勢を取りやすくすることを目的としている。
第64回日米学生会議では以下の4つの開催地を巡る。
第1開催地 ダラス(テキサス州)
テキサス州北部に位置する近代都市ダラス。第64回日米学生会議は市中心街北方にある南メソジスト大学からがスタートする。ダラス経済は油田開発によって発展し、大手石油資本エクソンモービルや、世界的半導体企業テキサス・インストラメンツの本社がある。国際的に開けた都市であり、ダラス・フォートワース空港はハブ空港として世界第3位の離発着数を誇る。一方で、不法、合法の移民流入が顕著で、全人口の3分の1強をヒスパニック系が占めるまでに膨れ上がった。 近年、全米で最も危険な都市の上位にランクインし、治安は悪化の一途をたどっている。第1開催地では、文化の多様性を維持しながら都市の安全性を向上させるために何ができるのか考えたい。
第2開催地 マディソン(ウィスコンシン州)
豊かな自然と観光資源に恵まれたウィスコンシン州は、酪農と食品加工業が盛んである。州都マディソンには、州立版アイビーリーグのひとつに数えられるウィスコンシン大学があり、公教育の水準も高い。市内では夏と冬に毎週、州特産の農産品を扱う全米最大級のマーケットが開かれ、多くの人々で賑わう。一方、他の多くの州同様、州財政は悪化し、赤字削減のために州職員の労働条件が見直された。財政危機克服のため、州政府はどのように増収を図り、歳出を抑制しながら適正な住民サービスを提供していくべきか。ティーパーティーが台頭し反格差社会デモが拡大する中、富裕層への増税や社会保障費の削減は可能なのかなど、連邦政府の債務問題も併せて考察したい。
第3開催地 バークレー/サンフランシスコ(カリフォルニア州)
ゴールデンゲート・ブリッジやフィッシャーマンズ・ワーフなど、華やかな観光地で人々を魅了するサンフランシスコ・ベイエリア。湾の東岸に位置するバークレーはリベラルな都市として知られ、カリフォルニア大学バークレー校は1960年代の学生運動発祥の地とも言われる。サンフランシスコはアジア系移民を多く受け入れてきた歴史がある一方で、少数派民族排除の時代もあった。排日移民法や中国人排斥法によってアジア系移民は制限され、先住民は白人入植者に土地を奪われ、偏見や差別の目と闘ってきた。「人種のるつぼ」とも「人種のサラダボウル」とも言われる移民国家アメリカ。特定の人種、民族の権利をめぐる歴史を通して、少数派民族のアイデンティティ問題を考え、多様な人種が共生するための道を模索したい。
第4開催地 シアトル(ワシントン州)
ワシントン州最大の都市シアトルは、緑と湖に囲まれたその美しい都市景観から、「エメラルド・シティ」の愛称を持つ。航空宇宙産業の雄ボーイングを始め、近年ではIT産業やバイオ産業が発達し、世界最大のソフトウェア会社マイクロソフトやネット通販最大手のアマゾン、グローバル展開を続けるスターバックスなど先端企業が集積している。また環境に対する意識も高く、世界をリードする環境先進自治体としての側面も持つ。州、郡、市の行政が、廃棄物のリサイクルや自家用車運転抑制などに一体的に取り組んでいる。環境に配慮しながらも着実に経済発展を遂げているこの地で、環境共生型社会を実現するためにはどのように企業活力の向上と自然保護活動を両立すべきか考察したい。







