トレードサイズの調整(投資顧問)

「リスク」と「投資効率」の分析は全て常時同ロットのポジション(たとえば債券先物1枚)での運用を前提としてきた。

ところが実際の運用では、トレードごとの確信の度合いによって、リスク許容度を測りながら、トレードサイズを調整することも多い。リスク許容度の測定には、インプライド・ボラテイリティに基づくバリューアットリスク(VAR)やストレステスト等が利用される。

マーケットに参加することで受けるリスクを、自らの許容量の範囲内に収めるため、能動的にリスク管理する方法のうち、シンプルかつ重要なもののひとつがこのポジション・サイズの調整である。

ここではトレードサイズのさまざまな調整法を簡単に紹介する。トレードサイズの調整法として、ロング/ショートのポジション切替えの都度、建てる枚数(エクスポージャーまたはポジション量)を変化させる「ドテン売買時のサイズ調整」と、1回のロングもしくはショート・ポジションのなかで建てている枚数を調整する「ピラミッティング手法」の2つに大別できる。

(1)リスク金額固定法ロング/ショートの切替わりごとに常に同枚数でトレードするいわゆるドテン売買(サイズ調整なし)。

サイズ調整を行わない、最も一般的なパターンである。

(2)マーチンゲール(倍賭け)負けが続いたらそろそろ勝つ順番だ、と考えてポジションを取る方法である。

ここでは1度負けが発生(シミュレーション上)するまで実際のポジショニングを見送り、1回負けで1枚、2連敗で2枚、...、1回勝てばポジションをゼロにする方法を用いる。

代表例がマーチンゲール(倍賭け)である。

負けた次のトレードではオーダーの枚数を2倍に、更に負けたら次は4倍に、さらに8倍、...と勝つまでポジションを倍にし続けることにより、(資本力の続く限りにおいて)最終的には必ず勝つことができる。

もっとも、26回連続で負けた場合には6700万倍のポジションをとらなければ勝てない。投資家が負けが込んだ場合には相当な心理的・金銭的ストレスが発生する。

紙面の関係から詳細は別の機会に譲るが、実際の市場を元に検証してみると、マーチンゲールは枚数調整を加えないリスク金額固定法と比べて累積損益とドローダウンが小さく、明らかにパフォーマンスが優れている。

このことは、現実のマーケットに「リターン・リバーサル」(儲かった次回は損することが多く、長期的に運用すれば過去の平均パフォーマンスに収敏されるとする思想)が実在することの一つの証でもある。

利益の上がった次のトレードは通常の精神構造を持つ人間であれば強気にポジショニングするであろうし、逆に負けたあとでポジションを大きくとることには困難が多い。このような市場参加者が多いからこそ、この逆の運用スタイルが有効ということなのであろう。

その他には、リバース・マーチンゲール(=パーレイ)、ケリーの公式、リスク%固定法、オプティマルf(最適賭け率)等の方法が良く知られている。

いずれにしてもポジションテイクに際して、ポジション量をどうするか、その方法次第では勝てる手法でも結果的に負ける可能性があることには留意を要する。

リスク管理と資金(ポジション)管理は重要だ。

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このページは、-が2012年5月22日 00:09に書いたブログ記事です。

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