2012年5月アーカイブ

マネジャー選定のプロセスには、膨大な労力がかかることが理解できるだろう。とくにヘッジファンドは個々のマネジャーの資質に負うところが大きく、外形的な判断基準を一律に当てはめて評価することはできない。

また、対象があまりにも多いことから、第1次スクリーニングでいかに有力候補を早期に見出すかが、実務上は重要である。

ヘッジファンド業界でトップランクと評価されるマネジャーは全体の2~3%にすぎないといわれている。

その多くがファンドをクローズしており、新規の投資家に対しては門戸を開いていないことも厳しい現実だ(法的には受付けていても、運営上、実質的に新規投資を受付けないことをソフト・クローズという)。

有能かつ投資対象となり得るマネジャーを発掘するという作業は、現実には何らかの人的ネットワーク等から糸口を見出す場合が多く、定性的な情報収集がきっかけになっているものだ。定量的作業は、理論武装も兼ねた補完的手段として位置付けられるのが現実である。

新興マネジャーも含む膨大なマネジャーを管理するには、データベースの管理や分析のために、多くのコストを割く必要があり、それは投資家にとってのコスト増にもつながる。

従って、いかに効率的なオペレーションを行えるかも、重要な要素なのである。

データベースの構築は定量分析作業の第1歩だが、ヘッジファンドの場合、データや戦略カテゴリー分類の正確性には不安がある。有能なゲートキーパーは、データのメンテナンスには十分なコストをかけて正確性を確保し、運用スタイルの見極めと戦略カテゴリーの分類に時間と労力を割いている。

株式ロング・ショートとリスク・アービトラージを混合したマルチストラテジーを採用しているマネジャーをどちらのカテゴリーに分類するのか、といった実務上悩ましい問題があり、定性分析の過程で十分なチェックが必要だ。
欧米の証券会社は、ヘッジファンドが行っているような運用を従来は自己勘定で行っていた。

しかし、最近では自己勘定トレーディング業務は多くの証券会社が規模を縮小し、独立していった外部ヘッジファンドを有望な顧客として囲い込み、プライム・ブローキングに注力している。クレジット・リスクや市場リスクを負うことなく、ブローキングや販売面で魅力的なビジネスに成長したため、各証券会社は新興ヘッジファンド・マネジャーを支援し、投資家に紹介する機会を用意するところもある。

次に、こうして集まってくるマネジャーのスクリーニングである。

多くのファンド・オブ・ファンズ・マネジャーは、何らかの独自データベースを構築し、ヘッジファンドに対する格付を行っている。

まず、膨大なヘッジファンド・ユニバース(6000社)の中から、足切りを行う。第1次スクリーニングは、トラックレコード、リスク、戦略の種類、マネジメントチームの経験等を定性・定量両面で評価する。
第1次スクリーニングを通過したファンドには第2次スクリーニングに進む。

この段階で50%のファンドが脱落する(3000社)。

この第2次スクリーニングでは、イーメールを使った質問等に基づくマネジャーとの初歩的な面談調査、戦略分析等が行われる。
満足な結果が得られたもの(600~1000社)は第3次スクリーニングへ進む。

直接面談を中心とするマネジャー・チェック、規制やコンプライアンスも含むバックグラウンド調査、バックオフィス等オペレーショナル・リスクの評価、取引証券会社や外部の第三者に対するインタビュー等、更なる詳細なデュー・デリジェンスが実施される。満足な結果が得られたものは投資候補のバスケット(100~150社)に入る。

投資候補のバスケットの中で、実際に投資するファンドを選択する。

この段階では、リスク・リターン特性を十分に配慮して、ポートフォリオの組成が慎重かつ大胆に決定される。

一般のファンド・オブ・ファンズの場合、バスケットには20~40社程度のマネジャーを組入れることが多い。投資実行後も、投資候補バスケットに入っているファンド(100~150社)とは投資実績の有無に関わらず定期的にコンタクトし、レバレッジ、リスク、スタイル偏向、パフォーマンス等をモニターする。

問題が発生した場合は、資産配分の変更を行い、ファンドの置かれているランクを変更する。

データの収拾(投資顧問)

ポートフォリオ組成の第一歩は、ヘッジファンドのデータベースを構築または取得することである。

最近では、一般からもアクセスできる有料無料のヘッジファンド・データベースがでてきた。そのような一般的情報からの絞込みは、膨大な手間と労力がかかる作業であり、実務的ではない。

そこで、多くの投資家やファンド・オブ・ファンズ・マネジャーが重用するのは、人的ネットワークである。

マネジャーの世界は存外に狭い。

最近は、運用戦略の専門化が進んだ結果、マネジャーの属する業界で主要なプレイヤー同士はある程度何らかの知遇を得ている場合が多い。これは、わが国でも各業界の主要プレイヤー達の知名度は上がり、業界内での評判が確立していることを思い起こせば納得できるだろう。

そして、大手金融機関等でこれら主要プレイヤーが育てたジュニアが独立する際にも、メジャー・プレイヤー問では間接的にその評価が伝播する。

こうして、人的ネットワークは、海外においても最も重要な情報ソースとなっている。それ以外には、取引のカウンターパーティーとなり、時には販売でも協力する証券会社を通じた情報や、外部機関が主催する大規模会議等も活用される。

多くの困難(投資顧問)

ヘッジファンドへの直接投資には、これまで説明したように多くの困難が存在する。ヘッジファンドの戦略は、非常に難解で複雑なものが多く、マーケット・ニュートラルと称される戦略も、実際には大きなリスクをはらんでいる。

また、運用資産時価を正しく算出しているかを確認したり、限られた数のヘッジファンドで最適分散効果を得る事は難しい。

ドキュメンテーションは英語であり、ファンド関係者の地理的所在もグローバルに分散している。優良ファンドの多くは、一見の投資家には門戸を開いてくれないという悩みもある。

要するに、現実問題として、世界中に6000以上あるといわれ、公には積極的営業活動をしていないヘッジファンドの中から優良な投資対象を見分けて、適切なポートフォリオを構築することは容易ではない。

そこで、ファンド・オブ・ファンズやゲートキーパーを利用するのが現実的な代替策となる。コストが二重にかかるという問題点はあるが、それを上回るメリットを認める投資家も多い。

出発点(投資顧問)

ヘッジファンド投資のスタートは、ヘッジファンドの特性を理解し、投資家自身のポートフォリオに組み込む絶対リターン型資産として認識することである。ポートフォリオ全体の中で、何を目的としてどの程度の組入れを行うのかを決定する必要がある。

無論、実験的に始めてみる、という投資家もいるだろうが、目的を明確化しない漠然とした形で投資を行うと、その後の評価が困難になる。

少なくとも、期待リターン・リスクを明確化しておくことが求められる。コンセンサスが出来上がったら、(あるいは、コンセンサス作りと同時に)進める作業は、ヘッジファンド選定を自ら行い、ヘッジファンド・ポートフォリオを自ら構築するのか、あるいは、ファンド・オブ・ファンズまたはゲートキーパーを利用して、そのプロセスをアウトソースするのかを決定することだ。

流動性(投資顧問)

リスクの次に、ヘッジファンド投資の問題点を整理しておこう。

まず第一に、流動性がある。

流動性とは、投資家にとっての換金性を指す。

ヘッジファンドの流動性は低い。戦略によっても差があるが、四半期ごとまたは毎年でないと換金できないのが一般的だ。

最近では、毎月末の解約を認めるヘッジファンドも増えてきたが、実績にあるマネジャーほど、投資家からの人気を背景に、強気の条件設定をするケースが多い。

解約換金のための時間がかかることも留意しておきたい。

通常、解約日の30~60日前までに書面による事前通知を行う必要があり、実際に解約資金が払い出されるには、解約日からさらに30~60日を要することが多い。解約申込から資金受領まで、最長4カ月間近く要する場合もある。

また、ロックアップと称する資金凍結条件を設定している場合も多い。

投資後一定期間、解約を認めないという条件である。

一般的には6~12カ月間、最長では3年間の払出禁止を定める例もある。解約そのものは可能でも、早期解約にはペナルティーとしての解約手数料を付すケースもある。

人気のあるマネジャーほど、安定した環境で運用に専念するために、長期間コミットしてくれる投資家を期待する。

資金集めが思うに任せないマネジャーは、流動性を大幅に譲歩し、不安定な資金繰りでも何とか資金を集めようとする傾向がある。

従って、ファンドとしての流動性が高ければ、投資対象として優れているかといえば、必ずしもそうではなく、そのために犠牲になっているものがあるかもしれない。

ここでも、需給関係が成立していることを理解しておく必要があるだろう。特に、ファンド・オブ・ファンズの場合、有力なファンドをポートフォリオに多数入れている場合には、流動性を高めることは難しくなるという背反性から逃れられない。

しかし、まれに相互の力関係から特別優遇を受けるファンド・オブ・ファンズが存在することも確かである。

これは、ファンド・オブ・ファンズの付加価値のひとつであろう。
それと並んで重要なのが、ビジネス・リスクである。

ビジネス・リスクとは、ヘッジファンド・マネジャー、ファンドに関与する関係者(トラスティー、カストディアン、プライム・ブローカー、アドミニストレーター、法律事務所、監査法人、販売証券会社等々)の信用リスクや、ストラクチャー自体に潜むリスク(法律、コンプライアンス、規制、会計、税務等いわゆる広義のオペレーショナル・リスク)のことである。ヘッジファンド・マネジャーの専門は投資リスク管理であり、優秀なファンド・マネジャーが優秀な経営者(ビジネス・マネジャー)であるとは限らず、現実にはそうでない場合も多い。

ヘッジファンド投資に当たってのデュー・デリジェンスで最低限必要なのは、むしろこのビジネス・リスクに対するチェックであるといえるだろう。

オフショアには6000を超えるともいわれるヘッジファンドが存在し、その他の投資ビークルは数え切れないほど存在している。英語による分厚い契約書でもカバーしきれない定性的な情報は、人的なネットワークを利用した調査によって、初めて確認できるものも少なくない。

ヘッジファンド業界で起こった重大なイベントを概観したい。

アカデミズムが投資の世界に導入されて以来、人間行動に関する数学的なモデルは著しい発展を示したが、それに不吉な兆候をもたらす出来事が1987年10月に起こった。

ブラック・マンデーである。この一大イベントはともすると株式市場暴落の1ページに数えられるだけと考えている市場参加者もいるが、それ以上に、1980年に設立されたポートフォリオ保険会社LORが崩壊したことを知っておかねばならない。

LORは、資産が急増した米国年金基金や投資信託、保険会社に対して、プットオプションの擬似トレードを常時市場で繰り返すことにより、プットオプションの損益曲線を提供しようとした。

CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)がS&P500等先物取引を導入した後は、先物のデルタ・ヘッジを繰り返すことで、株価下落に対する保険を提供しようとしたのである。

1987年10月14日に米国議会が企業買収に対する税制優遇措置を縮小する法案を可決し、ベーカー財務長官がドル安誘導を発表すると、軟調だった米国株は下げ足を早めて、結局翌週明けの18日には市場オープンと同時に大暴落したのである。ダウは1日で22.6%下げたのだが、相場が下がるときには先物を売り建てなければならないLORは、シカゴの先物市場でヘッジ売りをさばききれなかった。

投資家は、ポートフォリオの保険を買っているつもりだったのだが、結局、この保険は効かなかったのである。

投資家は大損失を被り、LORは破綻した。

この後、コンピューターによるプログラミング売買が下げの主犯と騒がれたが、それがLORを中心とするポートフォリオ保険だったのである。

投資家は、市場すべてが下げたためにまったくリスク分散効果を得ることができず、保険と考えていたプログラム売買も機能しなかった。

ゆえに以降、金融機関とのオプション契約という法的に有効な取引を求めることになる。マーケット・メーカーはマーケットが一斉にポジション調整に入った場合の流動性リスクを強く認識させられた。

ヘッジファンド・マネジャーが表舞台に出ることにはならなかったものの、以降のイベントを示唆する重要なものだった。

「リスク」と「投資効率」の分析は全て常時同ロットのポジション(たとえば債券先物1枚)での運用を前提としてきた。

ところが実際の運用では、トレードごとの確信の度合いによって、リスク許容度を測りながら、トレードサイズを調整することも多い。リスク許容度の測定には、インプライド・ボラテイリティに基づくバリューアットリスク(VAR)やストレステスト等が利用される。

マーケットに参加することで受けるリスクを、自らの許容量の範囲内に収めるため、能動的にリスク管理する方法のうち、シンプルかつ重要なもののひとつがこのポジション・サイズの調整である。

ここではトレードサイズのさまざまな調整法を簡単に紹介する。トレードサイズの調整法として、ロング/ショートのポジション切替えの都度、建てる枚数(エクスポージャーまたはポジション量)を変化させる「ドテン売買時のサイズ調整」と、1回のロングもしくはショート・ポジションのなかで建てている枚数を調整する「ピラミッティング手法」の2つに大別できる。

(1)リスク金額固定法ロング/ショートの切替わりごとに常に同枚数でトレードするいわゆるドテン売買(サイズ調整なし)。

サイズ調整を行わない、最も一般的なパターンである。

(2)マーチンゲール(倍賭け)負けが続いたらそろそろ勝つ順番だ、と考えてポジションを取る方法である。

ここでは1度負けが発生(シミュレーション上)するまで実際のポジショニングを見送り、1回負けで1枚、2連敗で2枚、...、1回勝てばポジションをゼロにする方法を用いる。

代表例がマーチンゲール(倍賭け)である。

負けた次のトレードではオーダーの枚数を2倍に、更に負けたら次は4倍に、さらに8倍、...と勝つまでポジションを倍にし続けることにより、(資本力の続く限りにおいて)最終的には必ず勝つことができる。

もっとも、26回連続で負けた場合には6700万倍のポジションをとらなければ勝てない。投資家が負けが込んだ場合には相当な心理的・金銭的ストレスが発生する。

紙面の関係から詳細は別の機会に譲るが、実際の市場を元に検証してみると、マーチンゲールは枚数調整を加えないリスク金額固定法と比べて累積損益とドローダウンが小さく、明らかにパフォーマンスが優れている。

このことは、現実のマーケットに「リターン・リバーサル」(儲かった次回は損することが多く、長期的に運用すれば過去の平均パフォーマンスに収敏されるとする思想)が実在することの一つの証でもある。

利益の上がった次のトレードは通常の精神構造を持つ人間であれば強気にポジショニングするであろうし、逆に負けたあとでポジションを大きくとることには困難が多い。このような市場参加者が多いからこそ、この逆の運用スタイルが有効ということなのであろう。

その他には、リバース・マーチンゲール(=パーレイ)、ケリーの公式、リスク%固定法、オプティマルf(最適賭け率)等の方法が良く知られている。

いずれにしてもポジションテイクに際して、ポジション量をどうするか、その方法次第では勝てる手法でも結果的に負ける可能性があることには留意を要する。

リスク管理と資金(ポジション)管理は重要だ。

シャープ・レシオ(投資顧問)

(平均収益率一無リスク金利)÷収益率の標準偏差=シャープレシオ。

運用評価の尺度として最もよく利用される指標のひとつである。

この指標では分母に「収益率の標準偏差」が用いられる。投資顧問によると、この指標におけるリスクとは"損失の発生"ではなく"収益の不安定性"だ。

毎年のリターンが同水準であるならば、+20%~-20%のストラテジーより、+5%~-5%のほうが好ましい。

この指標では、大幅な利益も大幅な損失と同様にリスクとなる点には注意が必要だ。

ヘッジファンドのような絶対リターンをターゲットとしたファンドに対する評価をする場合、分母をドローダウンとする指標の方が本来は適当だと考えることも可能だ。投資顧問によると、インデックス運用において、「収益率の標準偏差」はファンドをインデックスに連動させるためのコスト増要因であるとして"リスク"として認識する場合には有効だろう。

また、この指標には時系列の概念が含まれていない。

「リターン」と「リスク」の比率を指す。投資顧問によると、1トレード・1単位リスク当たりどれだけの収益が得られるか、でシステムの有効性を計測しようとするものである。

この指標には「継続運用」という概念が盛り込まれていないことには注意しなくてはならない。

システム運用を評価しようとする場合、継続的に売り買いすることが前提だが、この継続運用に伴い発生するさまざまなリスク(連続的な損失計上によるドローダウンの発生など)はこの指標では判断できない。

通常、「リスク・リワード・レシオ」といえば"平均勝ち幅/負け幅比"を指すことが多い。投資顧問によると、確率は度外視し、幅だけで判断するのである。

1回の損益が損失と利益のいずれに振れ易いかを傾向としてみるのに有効であるが、確率を考慮していないため、例えば過去のパフォーマンスが1勝99敗でその1勝が大勝であった場合、この指標は非常に良い数字となってしまう。

【5日移動平均】2.44倍(平均勝ち幅...88.6銭、同負け幅...36.4銭)
【10日移動平均】3.24倍(平均勝ち幅...1円28銭、同負け幅...39.4銭)

日数の長い10日のほうがポジショニングの切替わりが遅く、損益の変動幅は大きい。

投資効率とは、本質的には「欲しいもの」÷「欲しくないもの」で算出される。

通常は「リターン」÷「リスク」が用いられ、1単位リスク当たりどれだけの収益を獲得できるかを示す指標とされている。投資顧問によると、「リターン」「リスク」ともさまざまなものが考えられるため、投資効率についてもその全てをここで紹介することはできない。

分母を「リスク」でなく、「取引コスト」(=「手数料」+「ポジショニングに入るポイントと実際の約定値との価格差(スリッページと呼ばれる)」+「投資資金の調達コスト」+「税金」など)で割ることで、"コスト対効果"を算出することもできる。投資顧問によると、分母を「トレード期間」とすれば、単位期間内でどれだけ収益を上げることが可能であったかを計測することもできる。

例えば年内に勝負をかけたい場合など、トレードできる期間が拘束されている投資家にはこうした指標が向いているだろう。

ドローダウン(投資顧問)

これは、直近の累積損益線トップからの落ち込みを指しており、最悪のタイミングで投資を開始した場合の損失累計と同じことになる。投資顧問によると、10日移動平均のほうがトレードの発生頻度は緩やかであり、手数料などの取引コスト低減には有効だ。

累積利益は大きいが、リスクも大きいのである。投資顧問によると、従って、各トレードのリスクを同量とするには、10日移動平均のポジションを少なめとする必要がある。

平均負け幅(投資顧問)

絶対リターン運用に際してのリスク管理・ポジション管理の代表的概念と手法を紹介する。投資顧問によると、日本長期国債先物のトレンド・フォロー型マネージド・フユーチャーズ運用例である。

まずここで考えなければならないのが、平均負け幅=「平均損失」である。

これについては、期間の長いものほどリスク/リターンの絶対値は大きくなる傾向がみられる。

ロングとショートの切替えタイミングが遅くなるからだ。投資顧問によると、従って、リスク管理上は、これに連動する形でロスカット幅とポジション量(建て枚数)を調整する。

このケースではロスカット幅は10日移動平均のほうを大きめに、また建て枚数は10日移動平均のほうを少なめにすべきだろう。

逆に「最大損失」を考えた場合、上記と同様だが、こちらは過去たった1回しか発生していないケース(アウトライアー=異常値)もある。投資顧問によると、最悪の事態を想定することも重要ではあるが、統計的な有意性は低い。

あるドイツの銀行がロンドンの銀行に電話をして、「直物電信のドル・スターリングのレートはどのくらいですか」と単純な尋ね方をし、たまたま、ドイツの受渡日とイギリスのそれとが異なっていれぽ、ドイツの銀行がイギリスの銀行の示した為替レートに同意して取引を決め、そのすぐ後に受渡日の違いに気がついたとしても、その取引をやめるわけにはいかない。投資顧問によると、誤解が生じたとき、不注意な言葉を用いた者が罰を受けるのである。

この種のミスが生じた場合の多くは、両当事者とも角張らずに決済をしてしまうが、余分にかかった費用は、ミスを犯した側で負担する。

決済が完了した後、エラーが明るみにでたときは、当座貸越の利息支払いが生じるが、上記の場合には、ドイツの銀行がそれを負担することになる。

たとえ、最初の銀行ないし顧客が受渡日を明確にしない場合でもf依頼を受けた銀行は、受渡日を含めたすぺての事項について、電話を切る前に復唱すべきであろう。投資顧問によると、当事者の一方の不注意から生じるミスを十分に避けられるだろう。

結局のところ;直物レートは、先物レートのひとつである。

中央銀行のなかには、海外で起きた当座貸越や残高から直物ポジションを除くことを認めているところがある。

というのは、直物の期日が到来する前に、銀行は中央銀行が設けた枠内にオープン・ポジションを修正することができると考えられているからである。投資顧問によると、直物取引を活発にやる銀行は、決済日の翌日にポジションを調整するところが多い。

買越しや売越しは、翌日ものないし翌日と翌々日とのスワップによって調整され、これらがどのようなプロセスを経てなされるかについては、の先物相場のところで述べることにしよう。
小切手がニューヨークで引落されるなら、銀行は自己の顧客と同じようにドルの買持ちになり、このためにドル残高の有効な利用ができなくなるからである。

週末をはさんだときの直物取引は、いつが受渡期日になるのであろうか。

イギリスにおいては、銀行が土曜日と日曜日を休むので、木曜日か金曜日かになされた外国為替取引は、金曜日ないし月曜日が休日でなく、しかもその取引がドルとなされる場合なら、ニューヨークが月曜日も火曜日も休みでないとき、それぞれ月曜日と火曜日とが受渡日になる。投資顧問によると、決済する国での金融センターの休日が、その間にはさまれていても問題ではない。

二営業日とは、為替を売買するセンターでの営業日によって決められる。

異なる国にいる顧客が為替取引をする場合、正確な直物受渡日について不安が生じるときがある。

ユーロクフルrやニューヨークにおける日付は、ロンドンにおけるそれと必ずしも同じではない。

その日付についての誤解を避けるため、直物相場を尋ねるとき、尋ねた人の考えている日付を必ずそのとき忘れないように加えておかなけれぽならない。投資顧問によると、「ドル対スターリソグの直物レートをお宅はいくらにしていますか」「ドル対ユーロのレーrはスポットでいくらですか」。

このようなあいまいな質問であれば、その非は尋ねた側にある。

一方の顧客が、ニューヨークにおいてドルの現金決済をせず、銀行にドル小切手の発行を依頼するとき、このルールに例外が起こる。投資顧問によると、小切手を切った日に二え一ヨーク市場が開いているかどうかは、重要な問題ではない。

その小切手が当日呈示されることはまず考えられないからである。

そして、この小切手がロンドンの銀行の窓口で支払われるなら、このようなハプニングが起こる可能性は小さいだろう。

ロンドンで小切手が呈示されたとき、次の2つの対応がある。

そのひとつは、その銀行がスターリングを対価にしてドル小切手を買取ることである。投資顧問によると、ドルの支払いは生じない。

もうひとつは、ニューヨークで支払いがなされる場合であり、それは当事者のいずれかの指示による。


「二営業日」によって何が意味されるか。

まず、ロンドン市場でなされている直物取引の実務について眺めてみよう。

全く同じ原理を採用している、他の金融センターでは、休日が間にはさまれるなどの理由から、正確な直物決済日がロンドン市場と違うこともあり得る。投資顧問によると、ロンドン市場において、月曜日に約定した直物取引は、イギリスで火曜日が休日でないかぎり、翌水曜日に決済しなけれぽならない。

当然のことだが、ドルをスターリングに替えるという取引の際、水曜日がたまたま、ニューヨークの休日にあたっていれば、ロンドンと二z一ヨークとがともに営業をしている木曜日がスポット・デー、つまり決済日となろう。

外国為替取引とは、ある通貨を別の通貨に交換することであるので、それらの通貨が引き渡された

直物為替相場り、あるいは支払われたりする金融セソターは、ともに開いていて営業をしていなけれぽならない。

もしそういうことにならなけれぽ、基本的な原理(補償された価値原理)が働かなくなる。

この補償された価値とは、契約の両当事者が同じ時刻にそれらの通貨を受渡しすることを意味する。投資顧問によると、少なくとも理論上、信用リスクは免れる。

実際には、もちろん、二s"'ヨークとロンドンとにおいて同じ時刻に決済をするのは不可能である。

単純な理由からスターリングの決済は、ドル決済の前に行われなければならない。

その理由とは、ロンドンの銀行が締まる時刻頃に、ニューヨークの銀行が店を開くことである。投資顧問によると、「補償された価値」の原理が働くのは、両当事者とも相手の資金を利用することができない点にある。

利用できれぽその時刻には、違った目的のためにドルとスターリングとを活用してしまうであろう。

直物為替相場(投資顧問)

受渡日に期間の幅がある場合、当日ものと翌日ものの2つのレートが利用し得るが、その場合、当日か翌日かによってスポット・レートを調整しなけれぽならない。投資顧問によると、そのため、取引が始まる前に為替を申込んだ企業は、どちらの日を優先するかを知らせなけれぽならない。

ヨーロッパのいくつかの金融市場において、一営業日前に支払い、ないし口座振替の通知が必要とされるので、ポンド・スターリング以外のヨーRヅパ通貨Y'おいて、当日取引、つまり現金取引がなされることは滅多にない。

もし、そのようなケースがあるとき、その為替レートは、スポット・レートに比べて分がわるくなる。

ヨーロッパの市場、およびその同系のニューヨーク市場は、航空便や電話サービスがまだない時代に誕生した。

緊急時のメッセージは、電信で送らねばならず、これには時間がかかった。

海底電線は、メッセージを送るにはかなり費用のかかる方法であり、費用を削減するためにメッセージを記号化し、通常、真夜中にそれを送付して、翌朝の受渡しものに間Y'合わせた。投資顧問によると、電信会社は、暇な時間を利用して取扱えるので、真夜中のサービスY'は有利な割引料金を設けた。

その当時に生まれた外国為替の用語のいくつかは、現在でもまだ使われている。

そのひとつが「ケーブル」であって、それは、スターリソグを対価としたアメリカ・ドルの為替レートを示す。

「あなたのケーブルはどれか」と尋ねると、ドル対スターリングの直物レートがわかるという具合に用いられている。

市場の草創期には、そのようなおそい情報伝達手段しかなかったが、それを使って受渡しをできるだけ早く行うのは、それなりに意味があったに違いない。投資顧問によると、その後、銀行とその顧客とは書類を作成して、取引内容や指図に正確に合意し、同時に、支払い指図書の送付に最も安い手段を利用し得る機会が両者に与}えられた。

メール・トランスファ、略して「MT」の登場で市場は活発となった。

この郵便による送金は、後に航空便による送金になったが、これは小額の取引にだけ利用された。

最も適切にみえるような期日のうち最新のものは、スポヅト・レートに適用される日付であり、とくにアメリカにおいては、決済日に利用された。

それ以来、ヨーロッパや極東においてさえも、スポット・デーは、ほとんどの為替取引の決済日になった。

正確さと緻密さとは外国為替ディーリングの基本である。

省略や手抜きは、結局、コストのかかる誤ちをもたらすだけである。投資顧問によると、"スポット・レートとは何か"を尋ねるのは、為替レートとは何かを質問するのと同義である。

スポット・レートは、ある通貨を別の通貨に対して買うとか売るとかといったことを含めてすべての取

引にとってのベースを形成する。

スポット・レートはきわめて重要であり、スポット・レート以外の期日に受渡し、ないし決済する為替相場は、このベース、つまりスポット・レートを基準に計算される。投資顧問によると、6ヵ月後の受渡しで先物の売りないし買いをするとき、この受渡期間に比例させてマージンを加えたり減じたりして、スポット・レートが調整される。

ついでだが、北アメリカにいる読者には、フォワードの用語の代わりにフユーチュアを用いた方が理解しやすいだろう。

「フォワード」という言葉が徐々に受入れられているけれども、アメリカではフォワード・マーケットが、フユーチュア・マーケットと呼ばれている。

つまり、スポヅト・レートに比べ、その通貨の真の価値を正確に反映しているのは、6ヵ月の先物レートであると考える為替専門家がいるほどである。

しかし、スポッ渉・レートはすべての取引にとってベース・レートであり、一・般の人々にとっては先物レートよりも目にふれる機会が多いので、これを全く無視することはできない。投資顧問によると、「直物」取引といっても、即日即時の決済というわけではない。

主要なマネー・マーケヅト(ロンドンやニューヨーク、フラソクフルト、パリ)において、受渡し、ないし決済は、二営業日目に行われる。

受渡しが翌日というようなセンター、ことY'極東のセンタ呪や、当日決済、つまり現金決済というセンターもある。

これらの例外的な市場においては、どの期日が正常な決済日にあたるかは別にして、正常な決済日が「スポット」の日付である。
ある国の居住者は、外国製品を選好することも多い。

その理由として、国内品に比べて外国製品が望ましいとみるとか、とくに数量が多いとか、あるいは、そもそも国内に競合商品が存在しない、といったことがある。投資顧問によると、加えて、一連のわるい数字から将来の傾向を推測すべきではないかもしれない。

貿易収支は時々刻々変化しており、数値を調べるために選んだ任意のデータが、全体の傾向を代表していないこともあるので、つねに季節的な要因を修正してから、統計を利用すべきである。

健全な国際収支と貿易収支の黒字とを有する国は、この2つの勘定がわるい国と比べれば、明らかによい立場にいる。

これら両極端の間には、解釈するのがむずかしい中間的な状況が幅広く広がっている。

そして為替市場は、明白Y'は理解できないような結果に対して、反応を示さないこともたびたびある。投資顧問によると、純粋理論の視点から為替レートに影響を与える要因に光をあてることを、ここでは意図していない。

むしろ、市場の為替関係者がどのような行動に移るか、その仕方に光をあてることである。

多くの場合、エコノミストの議論は理にかなっているけれども、市場は、彼らの意見とは異なった方向に動いている。

これはすべての市場が非合理的に動いたことに対する言い訳ではない。

為替ディーラーは、彼ら自身のやり方で経済現象を眺める傾向があり、その解釈が惨めな失敗を招くこともある。投資顧問によると、それをわれわれは非難すべきであろうか。

市場の動きは自己満足的であろうか。

為替デイーラーの結束した行動は、政府が是正しようとしている状況を永続きさせてしまうのか。

多くの疑問が生じ得るが、その明確な答えが、すぐに得られるわけではない。

貿易収支(投資顧問)

貿易収支目にみえる貿易バランスは、国際収支のなかでも最重要な要素である。投資顧問によると、いくつかの国にとっては、それは、国際間の受取りや支払いのうち、最も重要な部分であるかもしれない。

イギリスやドイツのような生存と経済の成長とが国際取引に依存している国においては、他の要素に比べて貿易収支が何よりも重要である。

貿易収支の好・不調が、為替レートの水準に直接影響する。投資顧問によると、貿易黒字がなければ、長期間かけたとしても、その不足は資金流入で補充し得るものではない。

サービス収支が貿易収支の赤字をカパーするものとして、しぼしぼ期待されながら、それがたびたび実現されないという事実から、イギリスが強いというしるしにはならない。

貿易収支上の数値は、他の条件が等しければ、その他の国との購買力平価を示すものである。

しかし、価格差以外の他の要素、たとえば品質や納期、アフターサービスは貿易収支に影響する。

資金流入の縮小(投資顧問)

資金流入の縮小は、外貨準備に劇的な減少をもたらし、同様な影響は為替レートのうえにも生じよう。

銀行の秘密主義や税の優遇措置、政治の安定が理由で、海外からの巨額な資金流入が、幾年にもわたって生じている国一とくにスイスがある。投資顧問によると、預金に利子を払う代わりに、罰金を課して資金流入をストップさせることも時にはある。

スイスが海外の預金者や投資家の信頼をこれからも勝ち得ることができるかぎり、これはあり得る状況である。

しかし、信頼がある日崩れるならぽ、売り圧力は巨大であるから、為替レートを守り切るのはきわめて困難である。

スイスの商業銀行は売り圧力を吸収することはできない。

為替レートは急落して新しい均衡水準に落着けば、多大の努力を要さずとも売り圧力はなくなろう。投資顧問によると、資金流入ではなく、商品・サービスの受取りが多いといった積極的な理由から、国際収支がつねに余剰であるならば、為替u一トは、それほど余剰を出していない国や赤字国のすべての通貨に対して強くなるはずである。

恒常的に赤字だからといって、必ずしも為替レートは下落するものではない。

というのは、頭のわるい、サイコロを転がすだけで勝負をする為替ディーラーがいるからであり、彼らは、大赤字とか大幅な黒字といった重要なシグナルを無視して、赤字国の通貨を買い続け、黒字国の通貨を売り続げるだろう。

企業内の国内派(投資顧問)

企業内の国内派は海外へ出ることがなく、冒険好きな国際派は全くの欠陥人間であるといったことが発見されることもある。

海外投資は、教科書で書かれているほどにはポピュラーではない。投資顧問によると、国際収支だけを研究しても、その国の経済を真に評価するには十分とはいえない。

しかし、長い期間にわたって数字が記した道をたどると、将来の趨勢を示す指標が与えられる。

海外から巨額の借入れをしているのにもかかわらず、国際収支が恒常的に赤字である国は、破滅への途上にある。投資顧問によると、資金流入のおかげだけで国際収支は黒字だが、経常勘定が赤字である国は、不均衡を是正するために何かをしなければならない。

グリーンピース(投資顧問)

国際的な環境保護団体で、日本のイルカ捕獲・捕鯨批判、ロシアの核廃棄物日本海投棄を世界に通報したことなどで有名。投資顧問によると、行動的な非政府機関(NGO)で、本部はアムステルダム。

日本の支部として、グリーンピース・ジャパンがある。

グリーンピースの活動が、日本で一躍話題になったのは、1993年10月に、ロシアが核廃棄物を日本海に投棄しようとしたのを阻止した活動。投資顧問によると、放射能性核廃棄物投棄専用船「TNT27」が同月16日にウラジオストックを出港するのを、監視船「グリーンピース」が発見。

発見の状況と投棄状況をビデオで撮影し、衛星通信装置を使って、ロンドンにある広報部門に送信。

ビデオの内容を世界に公表した。

この結果、ロシアは国際世論に押され廃棄を中止せざるを得なくなった。投資顧問によると、グリーンピースは「環境」だけではなく核廃棄や核兵器廃絶をめざす「軍事撤廃」部門も存在。

自ら高度な技術力をもち、"現場"を見つけだし、摘発するのが特徴。

NGO(非政府機関)・・・投資顧問

国際貢献、社会貢献活動は、従来、政府が行うものだったが、最近、民間団体が積極的に活動、国際会議などでも、発言の機会を与えられるようになった。投資顧問によると、非営利活動を行う民間団体を総称してNGOと呼ぶ。

基本的にはボランティア活動なので、大規模な活動をする場合、寄付金に頼らざるを得ないが、わが国では企業の寄付に対する認識や税制上の対応が遅れているため、活動範囲が狭まらざるを得ない。

郵政省がはじめた「国際ボランティア貯金」は、利子の一部を、郵政省が寄付として受け取り、国際的な活動を行っているNGOに配分する珍しい貯金で注目されている。投資顧問によると、わが国でNGOに関心が集まるようになったのは、環境問題が注目されだしてからだが、財界団体などは、欧米の環境NGOの組織が巨大であることのほかに、企業寄りの発言や行動をするNGOが存在することに意を強くした面もあった。

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