FXが円高・ドル安になったり、逆に円安・ドル高にフレるたびに、日米政府首脳が、「今の円高・ドル安は行き過ぎだ」とか「現在の円安・ドル高は行き過ぎだ」などと口先介入して、FX相場に大きな影響を与えている。
投機筋は、その度に日米双方の顔色をうかがいながら、円やドルを売ったり、買ったりして、FX相場を乱高下させている。
本来、自由で(自然体で)形成されるべきFX市場の相場が、日米政府首脳の思惑によって大きく振り回されている。
仮に、これが株式市場であればどうだろうか。
株価が上がる度に「今の株価は高すぎる」、下がる度に「今の株価は安すぎる」などといちいち政府首脳が発言し、市場がそれに振り回されて、株価が乱高下するというのでは、それはもう資本主義経済の自由市場ではない。
社会主義経済の公設市場における管理価格だ。
今のFX相場が行き過ぎていて、国として困るのであれば、行き過ぎをもたらしている原因(貿易収支の黒字や赤字、金利水準など)を是正することにより、市場の自由意思(自然な需給関係)によって修正されるのを待つべきなのだ。
「FXを安定させるためには、FX相場に国が介入するのは当然だ」というのであれば、FXの変動相場制を止めて、固定相場制に戻すように先進諸国で話し合うべきだろう。
それぞれの国が話し合って、FXレートを決め、それでFXを固定してしまえば、FX投機が起こることはなくなり、FXの乱高下はなくなる。
変動相場制を維持するのであれば、各国政府はFXに直接介入したり、口先介入によって相場に影響を与えることは極力避けるべきだ。
公権力による介入は、本来自由であるはずのFX市場から自由を奪い、自由を窒息させることになる。
また、政府筋の情報を入手しやすい一部の投機家(金融機関、公的資金、ヘッジファンドなど)は、株式市場で禁止されているインサイダー取引まがいのことを行って、利益を上げることができ、公平性の面でも問題がある。
FX管理の撤廃によって、これからは資本が国境を越えて自由に出入りするようになる。
FX変動は各方面に利害の対立をもたらす。
それだけに、FX市場は自然な形で相場が形成される自由市場である必要がある。
株式でもFXでも、相場に多少の行き過ぎはつきものだ。
行き過ぎを否定し、行き過ぎがあれば、国の力で強引に是正するというのでは、自由市場は死んでしまう。
それなら、さっさと自由市場の看板を下ろし、固定相場制に戻すべきだ。
自由市場の看板を上げておきながら、価格を政府の都合のいい水準にコントロールするのでは、まさに羊頭狗肉。
各国が進めているFX管理の撤廃とも完全に逆行する政策といわざるを得ない。
