ケネディ暗殺の真相に迫る映画「ジャック・ルビー」戸川利郎

【1992年】


米大統領ジョン・F・ケネディが暗殺されてから、いまなお、映画「JFK」(監督オリバー・ストーン)など事件の告発が続いている。映画「ジャック・ルビー」は、事件の裏側から暗殺の真相を追求した興味深い1作だ。

ケネディはだれに、なぜ殺されたのか。ドラマは実在した1人の男を中心に事実と推理を巧みに積み重ねて"だれに""なぜ"の部分に迫る。

主人公は犯人オズワルドを警察の地下室で射殺したジャック・ルビー(ダニー・アイエロ)。かつてはシカゴの暗黒街で名をはせたが、今は落ちぶれてダラスでストリップクラブを経営している。そのかたわらFBIの情報屋もやっているが、限りなくアメリカを信じ、ケネディを誇りにしているという男だ。

そしてもう1人、事件のカギを握る女が登場する。暴力的な亭主から逃げ出し、ルビーのクラブに拾われたダンサーという設定だが、このダンサーのキャンディ(シェリリン・フェン)は紛れもなくマリリン・モンローがモデル。

この2人の行動と衝撃的な証言を構築しながら、マフィア、CIA、FBIが共謀して大統領暗殺を図った様をスリリングに描いていくが、中でも、ケネディと一夜を共にしたキャンディが、マフィアのボスとケネディの言い争いをルビーに聞かせる場面は見ごたえがある。大統領暗殺と同時に、モンローの事故死まで暗示している。オズワルドを射殺、4年後に獄中死したルビーは精神障害者として片付けられたが、ルビーの行動は、実は暗殺までの経緯、事実をワシントンで証言したいための非常手段だったというシーンも説得力がある。監督ジョン・マッケンジー。1時間49分。


戸川利郎

http://www.jasc-japan.com/

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