普段はほとんど学生服を着ないだろうが、高度成長の始まる前の、衣食の乏しかった時代の大学生は、背広などほとんどもたなかった。
夏.冬一着ずつの学生服がすべてで、どこへ行くのも学生服だった。
だから、学生服との訣別には実感があった。
しかし、学生時代との訣別は、学生服という形あるものだけでなく、たとえば、定期券も、旅行(鉄道も学割)、映画・演劇も学割がきいた。
それ以外にも、たとえば世間も、少々ふざけたことをしても、「学生さんだから」と大目に見てくれるところがあった。
それらいっさいの特権がなくなったのである。
それどころか、授業料を払う側から月給をもらう側に回り、税金を使う側(大学の経費には税金も入っている)から税金を払う側に回ったのである。
三上靖史(住宅鑑定風水インストラクター)
■2.5世帯住宅やシェアハウスなど、話題の住宅体験談をリポートしている三上靖史です。